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R-AX

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データとデジタル技術を活用し、次世代農業・フードテック分野の商品やサービス、ビジネスモデルを変革する当社独自のシステムとサービスです。

「R-AX」で実現する、未来の農業のカタチ

——「R-AX(アール・エー・エックス)」の概要を教えてください。

「R-AX」は閉鎖型植物工場などを代表とする次世代農業や、ロボット技術やAIを用いた農業であるスマートアグリ事業やフードテック事業の、ビジネスモデルを提案するシステムとサービスの総称です。具体的には、植物工場のIoT(モノのインターネット)システムから作物栽培に必要な機材、生産後の流通・販売チャネルまで、植物工場運営に付随するあらゆる事柄を網羅的にサポートしています。いわゆる商品群ではなく、「次世代農業の仕組みの基盤」を提供していると表現したほうがイメージしやすいかもしれません。

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——どのようにして「R-AX」は生まれたのでしょうか。

元々、植物工場向けの屋内栽培用LEDの開発・販売を検討していた際に「自分たちで実際に作物を育てなければ、根拠と自信を持ってお客様に提案できない」と考え、コンテナ型の自社植物工場を作ったことがきっかけです。

私たちが従来展開してきた、工場を自動化するFAシステムや空調を管理する冷熱システム、半導体などの電子デバイス事業などで培ったノウハウは、植物工場を運営するうえで非常に有効でした。やがて、「こうしたらもっと良くなるのではないか」「このシステムが必要だ」といった様々な気付きを重ね、工場も徐々に拡大していきました。実際に2022年には、世界初となる、植物工場での大規模なほうれん草の栽培・安定供給を成功させるなど、実績を重ねたんです。このような取り組みを経て、お客様に胸を張って提供できる「植物工場の仕組み」が構築できました。加えて、工場野菜流通の最大手であるFarmship(ファームシップ)社を関連会社化し、流通・販売チャネルも保有するようになりました。いくら工場で野菜を効率的に作れると提案したとしても、その先の市場まで留意した仕組みでないと、スマートアグリ事業に新規参入する企業様の不安や懸念を、払しょくできないと考えたからです。

——お客様のことを考えた取り組みの集積が「R-AX」なんですね。実際に、植物工場自体のニーズは高まっているのでしょうか。


植物工場などのスマートアグリ事業は、広範な技術を駆使する必要があり、なかなか参入しにくい分野ではあります。また、作り手の高齢化や人手不足など、現在の農業を取り囲む課題は山積みです。日本だけでなく世界的に見ても、今の農業の仕組みのままでは、流通・販売体制や価格などの維持はできないと考えられています。植物工場はそれらの課題を解決できる一手として、今後注目度はますます上がると予想されます。

実は、閉鎖型環境である植物工場分野では、日本が世界で最も進んでいる技術を持っているんですよ。取り分け、幅広い領域で課題解決を図ってきた私たちは、トップランナーとして植物工場業界を牽引しています。挑戦が難しい領域だからこそ、私たちがお客様と伴走し、事業実現をサポートする使命を担っていると捉えて、日々奮闘しています。

——「R-AX」で実現できる植物工場は、具体的にどのようなメリットを享受できるのでしょうか。

大局的な視野では、導入・運用・販売のあらゆる過程において、ワンストップで安心してスマートアグリ事業を展開いただけることが挙げられます。植物工場の運営に関して、スポット的なサービスはあっても、多面的に全てをサポートできる総合支援は他にはありません。

実際の運用面で言うなれば、無農薬で安心・安全な野菜を、効率的かつ安定的に供給・販売できることにつきますね。植物工場全体の最適化、つまり温度や湿度、光量などの野菜を育てるうえでベストな環境条件を、人間が設定した条件に基づいてシステムが自動制御するので、作物の成長を最大限に促進できるんです。

また、植物工場は大量の電力消費が課題として挙げられています。これを解決すべく、私たちはエネルギー効率を最適な状態にするための省力化機器やシステムも有し、無駄なエネルギー消費を最小限に抑えることに成功しました。工場全体のエネルギー使用状況をリアルタイムでモニタリングできるので、エネルギーの使用量や削減量も目に見えてわかりやすく、お客様から好評をいただいていますね。もちろん削減だけでなく、エネルギー自体を生み出す工夫もしています。太陽光パネルを設置することで、環境負荷と運用コストを低減する仕組みも構築しました。私たち自身も、2022年に大型太陽光パネルを設置した植物工場を新たに設立して、自家発電による工場運営を実証済みです。

生産後の段階においても、安定的に野菜を買い取る仕組みがあるので安心して収益を上げていただけます。膨大な市場動向データも分析しているので、ニーズに合わせて生産量を調整することも可能です。フードロスの軽減にも貢献できますよ。

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——実際に「R-AX」を活用して次世代農業に参入するのは、どのような企業でしょうか。また、参入した企業からはどのようなお声がありますか。

例えば電気事業や物流関係などから、自社の持つ技術を横展開して新たな事業の可能性を広げたい、と考える企業様が多いですね。また、サステナブルな社会貢献に取り組みたいといった要望もあります。実際「この技術はあるんだけど、何から始めればよいのかわからない」と相談いただくケースがほとんどですが、結果として「本気で次世代農業を始めたい」という意志が強い企業様が多く参入されています。私たちもその気持ちに真剣に寄り添い、事業計画や収支計画の策定の支援、初期投資の見積もりなどを行います。その時点で事業の成功可能性を分析し、リスクを最小限に抑えるためにアドバイスもしているので、ある程度採算を取っていただいてからの導入となります。

もちろん新規事業ですから、導入後も様々な課題が発生します。そういったお声に応えるべく、私たちは日々の運営も支援しています。伴走しながらより良い状態になるよう、改善を続けているイメージですね。そのおかげもあり、導入企業様とは強い信頼関係を築いております。直接相談を受けたり、場合によっては現地に足を運んで一緒に工場を視察したりと、頻繁な情報交換を行っています。流通・販売チャネルの仕組みで、安定的な稼働を実現できているのも企業様に安心していただけている理由の1つですね。

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——これからの見通しについて教えてください。

参入障壁が高いと言われている植物工場事業に、企業様が参入しやすくなるサポートシステムを提供していきたいと考えています。これまで私たちは、植物工場の仕組み作りに、文字通り本気で取り組んできました。現状に満足することなく、今現在でも自社の植物工場を運営する中で得たデータと経験を基に、お客様のリアルな声や要望も組み込みながら新たなシステム開発を進めています。本当の意味での課題解決力とは、単なる技術の提供ではなく、実体験からでしか得ることができない知見やノウハウの集積であると信じているからです。

実際の現場から産み出される実用的な仕組みで、近い未来には植物工場事業がより身近で、一般的なものになってほしいですね。

また、光合成エンジニアリング(植物工場で培った、光合成の評価検証技術や改善手法・量産化ノウハウ)をコア技術として、温室効果ガス削減に貢献する“光合成植物の成分抽出”分野でも、受託研究や量産化システムの提供がスタートしています。蓄積してきたデータと客観的事実を基に、包括的に社会課題の解決に貢献する事業へ展開していきたいですね。これからも持続可能な食と農を実現するために、必要な技術を開発・提供し、食料生産の未来を切り拓いていきたいと考えています。