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Pescle

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食品工場などで省力・省人化した衛生管理状況構築を実現する、ペストコントロールを支援するクラウド型AI害獣・害虫監視サービスです。

ペストコントロール業界に新風を吹き込む「Pescle」

——「Pescle(ペスクル)」は、どのような背景から開発されたのでしょうか?

私たちが保有する技術力を活かし、AIやIoTといった最新技術を駆使した新しいサービスを検討している際に、ペストコントロール業界の関係者にヒアリングする機会がありました。そこで、業界の抱える労働環境の改善や効率化、駆除の精度に対する悩みを聞いたのがきっかけで、ペストコントロール企業様向けのIPM(総合的有害生物管理)支援サービス「Pescle」が生まれました。ペストコントロールとは、人の生活を害さないように「害虫・有害生物」を制御するという意味です。RYODENが掲げる「環境・安心・安全でサステナブルな社会の実現に貢献する」というビジョンや、既存事業との親和性もあったため、ペストコントロール業界に貢献し、衛生管理の環境構築ができるならぜひ力になりたいと考えました。

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——ペストコントロール業界の現状や、具体的な課題について教えてください。

ペストコントロールは、特に食品工場や医薬品工場などで重視され、ペストコントロール市場は、年間約4兆円弱とも言われています。加えて日本の品質管理や安全基準は非常に高いため、ペストコントロールの需要は世界的に見ても高いと言えます。ペストコントロールが不十分だと、製品の生産停止や大規模なリコールが発生し、社会的信用も失ってしまう可能性があります。何かあってからでは取り返しがつかないですよね。

極めて重要な課題である一方、高額な導入コストや大掛かりな工事などが障壁となり、実際は十分な対応ができていないケースも多いです。例えば、ネズミ獲りの罠や監視カメラを工場内に設置するだけで良いと考えるエンドユーザー企業様も少なくありませんが、学習能力の高いネズミは簡単に罠をすり抜けてしまいます。監視カメラを設置しても、膨大な録画データを人が確認する必要があり、仮にネズミの出没を記録できたとしても、リアルタイムでの報告や駆除はできません。ネズミは急速に増加しますから、初動対応が遅れると駆除も困難になってしまうんです。

また、ペストコントロール事業者側の課題ですが、やはり人手不足や過酷で危険な現場対応などが挙げられます。ネズミや害虫の駆除には専門知識を持つ技術者が必要ですが、人材の確保が難しく、業界の担い手も減少している状態が続いています。

——ペストコントロールを取り巻く課題は山積みですね。「Pescle」は、これらの課題に対してどのようにアプローチするのでしょうか。

「Pescle」を導入すれば、労力やコストをかけずに、高精度かつ効果的なペストコントロールを実現できます。

例えばネズミ検知のソリューション(Pescle Rodents)で期待できる効果について、シーン別に3つ例を挙げますね。まず1つ目は、日々の業務の効率化です。現場での映像データをチェックする作業が不要になり、従来の手作業による確認作業の工数やコストが大幅に削減されます。2つ目は、ネズミ発生時の適切な対応です。万が一ネズミの動きを感知・判定した際、リアルタイムで検出情報をメールで知らせるので、迅速な初動対応と早い終息を実現できます。ネズミの侵入経路や動きも把握できるので、工場の生産ラインを全て止める必要はなく、被害総額を抑えられる効果もありますよ。3つ目は、ネズミ発生後の効果的な対策です。ネズミの発生データを分析することにより、環境調整を促すなどの再発防止策を提示できます。専門知識を持ったプロが現場にいなくても、徹底したペストコントロールを継続的に行えるので、属人化を防ぐとともに高い精度で再発を防ぎます。

また、クラウドでのデータ共有により、ペストコントロール企業様とエンドユーザー企業様のコミュニケーションも円滑になります。エンドユーザー企業様のペストコントロールに対する意識を高めていただくきっかけにもなるでしょう。話を聞くのと、実際に映像を見るのとでは大きな違いがありますからね。

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——それは効果が期待できますね。具体的な機能についても教えてください。

ネズミ検知のソリューション(Pescle Rodents)を例に説明すると、大まかに分けて、人の代わりに「見る」と「考える」の2つの機能を備えています。「見る」機能はモーションセンサーです。ネズミの動きを感知すると、独自のAI技術で対象の形状や動きを解析して判定します。実際に、各種研究施設やペストコントロール事業者様からいただいたデータ・情報を読み込んで学習させたので、ネズミの行動や種類、発生傾向なども全て高精度で判別できるんです。世界的に見ても、ペストコントロールツールにこのような精度の高いAIを採用しているケースは、私たちが知る限りでは存在しません。

「考える」機能としては、取得した発生日時などのデータをグラフで可視化し、発生傾向を分析・把握するダッシュボードをご用意しています。ネズミ発生時のデータを収集し、時期や時間帯を分析することで、適切な再発防止策を提案します。

——実際に導入した企業様からはどのようなお声がありますか。

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導入いただいたペストコントロール企業様からは、「複数の拠点を少人数で対応できるようになった」「操作が簡単」「駆除対応がスムーズになった」などのお声が多く寄せられています。トライアル期間を設けて、精度に納得いただいたうえで導入してもらっており、これまでに約1,000件の導入実績があります。その数は毎月増え続けているので、企業様には評価いただいていると感じています。イニシャルコストは発生せず、サブスクリプションの料金形態を採用していることや、電源不要のセンサーもすぐに設置が完了するなどの点も喜んでいただいていますね。

導入後も丁寧な操作説明を行うほか、AIの精度を高めるなどのブラッシュアップも、日々継続しています。機能なども日々拡充していますが、費用は据え置きである点も魅力に感じていただいています。

——今後の展望について教えてください。

より広範なペストコントロールを目指しています。飛翔性昆虫をモニタリングするサービスはすでに販売を開始しており、今後は歩行性昆虫に対しても有効なサービスの販売も計画しています。また、収集データを活用し報告書の自動生成や、対策に必要な情報を提供するようなトータルサポートも充実させていきたいですね。お客様の業務負担をさらに軽減し、効率的なペストコントロールを支援するためにも、ソリューションを拡充しアップデートを続けます。

将来的には、アメリカ市場などの海外展開も視野に入れています。近年アメリカでは、ペストコントロール技術の進歩が急速に進んでおり、毎年ペストワールドと呼ばれる展示会で最新の技術が発表されているほどです。しかし、世界的に見ても「Pescle」のように高度なAIやカメラ技術を駆使し、リアルタイムで分析を行うシステムはまだほとんどありません。

私たちの技術やノウハウで、グローバルなペストコントロールの課題解決に貢献できれば、これほど嬉しいことはありません。持続可能なペストコントロールの実現を目指して、これからも技術革新に努めてまいります。